20163/14

花笑う頃、思い出のお菓子を振り返ってみる。

花が咲くことを、「笑う」とも言うのをご存じだろうか。
花びらがふっとほどけるような、ぱあっと一気に開くような、
様々な花が咲く瞬間を思い浮かべると、ああ確かに笑うだなあと思う。

さて、昨年の春始まったこの「あまいお菓子のおたのしみ」も、今回が最終回。
最後までよろしくお付き合いください。

一つ目は、京都は中村製餡所のもなか

「きれーい!」と声が出た、ずらり整列したもなかの皮に、
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あんこがどどん!
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中村製餡所のもなかは、自分で皮にあんこをはさむタイプだ。
皮は、薄く軽くサクサクパリパリ、とても香ばしい。
粒あんはつやつやと輝き、白あんはどこまでもなめらか。
粒あんも白あんも、「これくらい甘いといいな」という期待に応えてくれる
ほど良い甘さで、口に入れると、残るでもなく溶けるでもなく、静かに消えていく。

皮だけ、あんこだけを買い求める人もいるほどの完成度を誇る皮とあんこを、
いっぺんに食べる贅沢!

我が家の3歳児も、量は控えめにと諭してもこれくらいはしっかり盛っていた。
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しかも「(粒あんと白あんの)だぶるにする!」。
それも正解。おいしいものへの嗅覚はちびっこも侮れない。
皮が浮くくらい山盛りにあんこをはさんで、せーので一口。
しばらくの沈黙の後に漏れるのは、ため息まじりの「おいしいねー!」。
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実はこのもなかは、「FU-KO なまいにち」のFU-KOさんからいただいたもの。
(nunocotoでもコラム連載をされていましたね!)

予想もしない贈りものに、家族一同喜びのあまり大騒ぎだった。
しかも、実は中村製餡所は、京都に住んでいた頃何度か前を通っていたのに、
小売はしていないと思い込んでいたお店だったので、驚きもセットになった。
(当時「製餡所」という響きに、どれだけときめいていたことか!)
中村製餡所のもなかは、私にとって忘れられない一品だ。

続いては、すゞやの豆大福
すゞやは我が家のご近所の和菓子屋さんで、
息子の初誕生日のお餅も、お祝いごと用のお赤飯や紅白まんじゅうも
みんなこちらにお願いしているのである。
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初対面の人に紹介されるとき、「この人の血はあんこでできています」と
言われたことのある私だけれど、この豆大福を食べると、
私の動力源はやっぱりあんこなんだなあと思う。

特に、すゞやの豆大福は、なんというか、食後にしゃんとするのだ。
歯応えのあるお豆が入った、むぐむぐもっちりとした厚みのある皮、
キリッとした塩味と柔らかな甘さのバランスのとれたあんこ。
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甘みの強い緩やかな粒あんを、透けそうなくらい薄い皮で包んだ
繊細な大福も大好きだけれど、すゞやの豆大福は、いわばパワーチャージ系。
おなかはきっちり満たされて幸せ気分でいっぱいなのに、
さあ、もう一息頑張ろう!という気持ちになる。
大きな口でぱくぱくいただいて、お茶をゴクン。
そのままスッと立ち上がり、仕事に取りかかれる大福だ。

ちなみに、少し皮が硬くなってきたら、
トースターで焼き色が付くまで温めるのがおすすめです。

そして最後は、箱根は菜の花の「ご黒うさん」
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ちょっとびっくりするくらい真っ黒なおまんじゅう、ご黒うさん。
その黒の秘密は、ごまあんと黒糖、それから竹炭。
本当に、真っ黒黒のおまんじゅうだ。
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薄皮は、肌理細やかで、指にぺたぺたとくっつくくらいしっとりしている。
味と香りは、ごまごまごま~!!!
指だけでなく、目も鼻も舌もごままみれになってしまう。

おいしいだけではなく、このおまんじゅうが、新月の日に考案されたお菓子―
「月はみえなくとも、月は確かにそこにあり、出発の日」― ということもあり
「ごくろうさん」と引っかけて、私は何かの節目にお贈りすることもある。
あちこちごまっぽくなるのは女子の皆さんには申し訳ないものの、
ごまの風味に軽めの甘さで、男性にもファンが多い。
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このほかにも、菜の花には「月のうさぎ」や「焼モンブラン」など
大好物がたくさんあって、何を買って帰ろうかいつも悩んでしまう。
それでも、今回「ご黒うさん」を選んだのは、やはり最終回記念として。

1年間、この連載にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
私にとって甘いものは、おいしいという喜びをくれるだけではなく、
焦ったり急いだりしがちな私を「今」に留め、
季節のことや周りのことをふうわりと思い出させてくれるものでもあります。
そんな思いや、季節あれこれの楽しみを、少しでもお届けできていたらうれしいです。

また巡ってくる新しい季節、足元に、枝先に、漂う香りに春の兆しを感じたら、
おいしいお菓子と1年の思い出を味わってみてはいかがでしょうか?
それが、穏やかで、思わず笑顔になってしまう幸せな一口であることを
心からお祈りしています。

それでは、またどこかでお目にかかれますよう、引き続きごひいきに。
皆さま、どうぞ召し上がれ。

【今回ご紹介したお店】
・中村製餡所 http://www.nakamura-seiansho.com/
・すゞや 神奈川県相模原市南区相南4-1-9/042-743-0749
・菜の花 http://www.nanohana.co.jp/

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高橋真生(ひらがな暮らし案内所)

ライター、文章表現講師。
暮らしや育児・本など、人とことばを軸にした情報の発信と、自分の思いを表現する力をつけるお手伝いが主な仕事。
甘いもの好きで、やんちゃな男児にてんてこまいの新米母。
ブログ ひらがな暮らし案内所 http://hiraga7.exblog.jp/
AllAbout公式ブログ 日本のこと、日本のことば http://maitaka84.hatenablog.com/

「あまいお菓子のおたのしみ -昼下がりの甘味-」の一覧

お皿の上ではもう春、を堪能してみる。
新しい年、愛らしいお菓子とともに春を待つ。
慌ただしい師走には、一口で別世界へ行けるお菓子を選ぶ。
自然に近い滋味のあるお菓子で、秋に浸る。
職人技に感激! 多彩な栗菓子にときめく。
草花にお菓子に、繊細な秋を見つける。
涼やかなお菓子の力で、優雅に残暑を楽しむ。
夏バテ対策! おやつでココロとカラダを健康にしてみる。
暑さと雨とにめげそうな日には涼やかなお菓子をいただく。
若々しい新茶には伝統の小さなお干菓子を添える
春に誘われて乙女な和菓子をいただく。
高橋真生

高橋真生(ひらがな暮らし案内所ライター、文章表現講師。 暮らしや育児・本など、人とことばを軸にした情報の発信と、自分の思いを表現する力をつけるお手伝いが主な仕事。 甘いもの好きで、やんちゃな男児にてんてこまいの新米母。 ■ブログ ひらがな暮らし案内所 http://hiraga7.exblog.jp/ ■AllAbout公式ブログ 日本のこと、日本のことば http://maitaka84.hatenablog.com/

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