
涼やかなお菓子の力で、優雅に残暑を楽しむ。
気温40度の声が聞こえてきそうな2015年、夏。
しかし、8月に入るとすぐに立秋、暦上の秋がやってくる。
「どこが秋じゃー!」と毒づくもよし、
暑さの中にかすかな秋を探してみるもよし、
ここからが本番とお子さんの夏休みに震えてみるもよし。
いずれにしても、暑いからこそおいしいもの、を
食すチャンスがやってきたということをお忘れなく。
今回は、三重県は伊賀の「あずきどうふ」から。
この、乙女心を刺激する箱をご覧あれ!

クラシックで優しげ、でもスッとした表情の箱は、
どこに出しても怖いものなしの佇まい。
しずしずと開けると、あずきどうふが、涼しげに光ります。

葛で仕立てているので、とにかくふるふる。
水羊羹ほど滑らかではなく、ういろうほどもっちりしておらず、
寒天ほどぷりぷりしておらず、あくまでふるふる喉越しつるん、である。
食べ終えても口から喉にかけて、優しいあずきの甘さとひんやり感が残り、
暑さがすーっと引いていく。

実はこの「あずきどうふ」、我が家の3歳児のお気に入りでもあります。
口に入れた瞬間目を輝かせて私を見上げ、
「かっか、こんなおいしいものみつけてくれてありがとう」と言いました。
家族みんなで堪能できる一品です。
お次は、金沢は加藤晧陽堂の「うちわ煎餅」

紙箱に描かれているうちわのイラストは、地紙(面の部分)が切り抜かれていて、
中に入っているお菓子のピンクや水色がチラリと見える。
こういう和菓子の箱はありそうでない。
かわいいし、この発想がいいなあと、まずパッケージに惹かれた。
うちわ煎餅は、銘菓「加賀志きし」の一つで、夏の限定のお菓子である。
お煎餅に、すり蜜という砂糖と水でできたクリーム状の蜜が化粧引きされており、
その後1枚1枚職人さんの手で絵柄がつけられるとか。

薄いけれどしっかりと蜜が塗られているせいか、ムキュッとした歯ごたえで、
それがすーっといかにも繊細な感じで口の中で溶けていく感じが
なんとも言えず雅やかで、決して冷たいお菓子ではないのに涼を呼んでくれる。
花鳥風月がモチーフの絵柄も美しく、日本っていいなあなんて気持ちになったりも。
(ピンクや水色を怪しむ人もいるけれど、味はほんとうにマイルドです)
そして私が好きなのは、うちわ煎餅を外で食べること。

お行儀が悪いかもしれないけれど、綿あめ感覚と言えば伝わるだろうか。
不思議と懐かしい味がして、縁側の涼しいところでいただくと
ノスタルジック度がさらに上がって、おいしくなる気がする。
そして最後は、GODIVAの「タルトグラッセ」。

私にとっては超贅沢アイス、でもこれで気力回復・夏バテ回避ができるんだから!
と、言い訳の限りを尽くして購入する。
ストロベリーや柚子・抹茶などもあって、どれもおいしいのだけれど、
今回はラズベリー&ダークチョコレートをご紹介。
ほろほろっとしたタルト生地に、ダークチョコレートラズベリーアイスクリームと
ラズベリーのソルベが2層に入れられていて、
その間にはなんとダークチョコレートが挟まれている。豪華!!

その上は、ダークチョコレートグレーズ、
てっぺんはダークチョコレートのプレート!
このいかにもおいしそうなねっとりしたツヤ感に、
ああ、これはチョコレートやさんのアイスなんだなー、としみじみ。
ダークチョコレートは、「ダーク」と言いつつ、濃厚な甘さで、
甘酸っぱいラズベリーと好相性。
かつアイスは滑らか、間のチョコはパリパリ、ソルベはシャリシャリで、
その組み合わせもまた秀逸。

実は、写真ではきちんとカットしているものの、
実際いただくときにはあーむとかぶりついている私。
そう、タルトグラッセの難点は、食べにくいということである。
まあ、その分食感の違いがダイレクトに伝わる気がして、
それはそれでよいようにも思うのだけれど。
炎暑ニッポンの喜びは、涼を呼ぶお菓子を心から楽しめることだと思う。
皆さま、どうぞ召し上がれ。
【今回ご紹介したお店】
・桔梗屋織居 http://www.k-orii.com/cgi-bin/k-orii/siteup.cgi
・加藤晧陽堂 http://kouyodo.com/
・GODIVA http://www.godiva.co.jp/