
お皿の上ではもう春、を堪能してみる。
立春も過ぎて、さあ、春だ!の2月。
実際はまだまだ寒いけれど、冬の名残の「春寒(はるさむ)」「余寒(よかん)」を
吹き飛ばすべく、暦だけでなくお皿の上の春を楽しみたい。
カッティングボードの上に贅沢に並べたのは、
あんみつ発祥のお店として名高い、銀座若松の上生菓子。
梅に山茶花、椿に寒牡丹……。
淡いピンクの花たちのつややかさと言ったら!
陰影の美しさ、繊細な形に見とれつつ、菓子切をそっと当てれば、
力を入れなくてもすーっと下まで通ってしまうほどに柔らかい。
口の中では、きゅっとお花の形にまとまっていたものが
さらっとふわっとほどける感じ。
あわあわとした幸福感に満たされて、春だなーなんてつぶやいてしまうのである。
続きましてはpatisserie A.K Labo(エーケーラボ)のウィークエンド。
ウィークエンドというのは、レモン風味のお砂糖が
薄くコーティングされているパウンドケーキのようなもの。
ワタクシの、大・好・物です!
A.K Laboのウィークエンドは、
生地はしっとり、香りは溢れんばかりの瀬戸内レモン。
お砂糖は、パリパリトロトロぺたぺたの半流動体。
甘さは手加減なし、でもしつこくなくて、このお菓子にぴったりだと思う。
何より驚くのは、こんなに地味なビジュアルなのに、
食べてみると、恐ろしいほど爽やかだということ。
しっかり満足感はあるのに、軽みがあって、気分が上向きになる。
ウィークエンドは冷やしてもおいしいので、夏に作られることも多いけれど、
実は、日本産のレモンの旬は12月から1月。
とれたてレモンの鮮やかな香りを、お試しあれ!
最後は、アンリ・シャルパンティエのいちごのタルト。
この、輝く姿で一目瞭然。みずみずしい春の到来である。
台からこぼれん落ちんばかりの大粒のいちごは甘酸っぱく、
ぷるぷるとろりーんと甘いカスタードクリームと好相性。
タルト部分もサクサクと香ばしい(パイ生地ではないのがポイント)。
いちごのほど良い酸味のせいか、見た目よりも軽くペロリと食べられてしまう。
春だねえ、いちごだねえ。
実は、アンリ・シャルパンティエは、店舗数が多くどこででも購入しやすいから、
手土産には向かないかなと失礼なことを思っていた私。
でも、生クリーム嫌い・まだチョコレートの食べられない小さな子・
重いケーキでは胃もたれする世代がいるお宅へ、お祝いのケーキを持って行くときに
助けてくれたのがこの華やかないちごのタルト(ホール)だった。
近くのお店で自分でも買ったよ~!なんて言ってもらえるのもまたうれしく、
お取り寄せしたり遠くまで足を運んだりしなくても手に入る、
身近なおいしいものをお贈りするのもいいものだと、気づかせてくれたタルトだ。
お皿の上に自分だけの春をちょこんとのせながら、
そう言えばご近所の梅の花がもう咲いてたな、なんて思っていただけたらうれしい。
皆さま、どうぞ召し上がれ。
【今回ご紹介したお店】
・若松 http://ginza-wakamatsu.co.jp/
・patisserie A.K Labo http://aklabo.com/
・アンリ・シャルパンティエ https://www.suzette-shop.jp/henri