201510/7

職人技に感激! 多彩な栗菓子にときめく。

窓を開けると、むせそうなほど強く、金木犀が香る。
空気は少しずつ軽やかになっていき、青空も日を追うごとに高くなる。

秋本番の気配が満ちてくる頃のお楽しみは、栗のお菓子。

栗は、その薬効や縁起の良さから、実は世界中で大切にされてきた木の実の代表選手。
日本でも、なんと縄文時代から食されていたと言われている。
「おいしい上に薬効があって、縁起までよかったら、それは当然だよね!」
栗好きとしてはあっさりそう思ってしまうけれど、
案外、栗の苦手な人というのは多いものだ。

栗の苦手な理由はたいていこの3つのうちのどれか。
「変に甘い」「喉に詰まる」「味が薄い」―
ほのかな甘みと、ほこほこもしくはねっとりした食感のことを
表現しているに違いないこの残念なことばに、しょんぼりした経験数知れず。

というわけで、今度こそ栗嫌いに勝ちたい栗好きさんにも、
秋の味覚を楽しんでみたい栗苦手さんにもおすすめのお菓子をご紹介。

トップバッターは、ジョエル・ロブションの「栗と和三盆のケーク」
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肌理細やかってこういうこと!とうなずきたくなるような
しっとりなめらかな生地と、和三盆と栗の穏やかな甘さ。
栗の主張は控えめで、あくまでもケーキを作っている材料の一つ、という感じだけれど、
物足りなさがないのは、栗の味も食感もきちんと味わえるからかもしれない。

フレンチの神様の栗と和三盆のケークは、重過ぎず軽過ぎず、濃過ぎず薄過ぎず、
華やかというよりは、家で食べるのにちょうどいい、落ち着いたお菓子だ。
パウンドケーキのようにスライスしていただけば、
一切れでもちゃんと満たされて、でももう一切れ食べてもいいかなという気にもなる。
コーヒー・紅茶はもちろん、緑茶にも合う。
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だから、プレゼントにもおすすめ。しかも、老若男女、誰にでも。
ロブションを知っている人は、まず箱で「おっ!」と思ってくれるだろうし、
知らない人でも、奇をてらわない上品な見た目と味を喜んでくれるだろう。
お料理が好きな人やお酒も好きな人へなら、
このケーキに日本酒が使われていることが話題にできそう。

テーブルに、ゆったりとした時間をくれるお菓子だ。

次は、一真庵の栗きんとん
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私にとって、栗きんとんの聖地は何といっても岐阜県中津川市。
栗きんとん発祥の地とされている中津川で栗きんとんめぐりをするというのが
夢の一つであるほどなので、毎年中津川のお店の栗きんとんを購入している。
お気に入りは川上屋で、口にした瞬間はほろっと崩れるのに、
口の中ではしっとりねっとり、きちんと裏ごしされたのが分かるなめらかな食感と、
濃厚な栗の甘味に涙するのである。

でも、一真庵の栗きんとんは全く違うタイプだ(そもそもお店は東京都国立市にある)。
大きな山栗を思い出すような、野性味のあるお菓子なのである。
本当においしい栗きんとんを、と店主が工夫を重ねた品なのだとか。
砕かれた栗が混ぜ込んであって、大きめのかけらはころころと、
小さめのものはつぶつぶっと、口の中で転がる。
ぽこぽこした食感で、「あー、今、栗食べてるー!」という満足感がある。
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栗のしっかりした甘みのある、喉にはりつかない栗きんとん。
3歳の息子もにこにこむぐむぐ食べていた。
贅沢だけれど、牛乳と一緒におやつにぱくぱく食べたい身近なお菓子だ。
こういう栗きんとんもいいな、と思う。

最後は、松月堂の極栗(きわみぐり)
松月堂は、聖地・中津川の栗菓子の名店の一つである。
極栗は、その松月堂から今年販売されたばかりのお菓子で、
栗きんとんの水分を飛ばして作られたおこげせんべいだ。

まずはパッケージにもご注目。
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ハンドバッグの形をした紙箱に入っているのだけれど、
取っ手の部分が栗の形になっているのである。かわいい!

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お皿にあけるとシャラシャラきれいな音をたてる。
薄くてパリパリ、カジュアルな食感なのに、優しい風情があるのは、
やはり栗きんとん100%の実力だろうか。
たっぷり淹れたほうじ茶と一緒に、パリパリポリポリしたい。

松月堂は、栗苞(くりづつみ)もとてもおいしい。
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栗苞は、「創作栗きんとん」の肩書を持っている
栗きんとんを葛で包んだお菓子で、もちーっとした本葛の中に
なめらかな栗きんとんが入っていて、こんな組み合わせがあったのねと
一口ごとに幸せを噛みしめることができる。
常温でもっちりもよし、冷やしてプルプルもよし、まだ暑いこともある秋に、
お好みとお天気に合わせて食べ方を選べるのもうれしいところ。

「金華(きんか)」「大峰(おおみね)」「国見(くにみ)」
「銀寄(ぎんよせ)」「伊吹(いぶき)」……、実はこれ、どれも栗の名前なのである。
ごろりんと転がるその堂々たる丸さや、つやつやとした光を放つ姿に、なんとも似合う。
職人の手によって様々なお菓子に変身した栗、
その美しい名前もまた楽しみながら、いただきたい。


皆さま、どうぞ召し上がれ。

【今回ご紹介したお店】
・ジョエル・ロブション http://www.robuchon.jp/
・一真庵 http://issinnan.com/
・松月堂 http://www.syogetsudo.jp/

profile_takahashi
高橋真生(ひらがな暮らし案内所)

ライター、文章表現講師。
暮らしや育児・本など、人とことばを軸にした情報の発信と、自分の思いを表現する力をつけるお手伝いが主な仕事。
甘いもの好きで、やんちゃな男児にてんてこまいの新米母。
ブログ ひらがな暮らし案内所 http://hiraga7.exblog.jp/
AllAbout公式ブログ 日本のこと、日本のことば http://maitaka84.hatenablog.com/

「あまいお菓子のおたのしみ -昼下がりの甘味-」の一覧

花笑う頃、思い出のお菓子を振り返ってみる。
お皿の上ではもう春、を堪能してみる。
新しい年、愛らしいお菓子とともに春を待つ。
慌ただしい師走には、一口で別世界へ行けるお菓子を選ぶ。
自然に近い滋味のあるお菓子で、秋に浸る。
草花にお菓子に、繊細な秋を見つける。
涼やかなお菓子の力で、優雅に残暑を楽しむ。
夏バテ対策! おやつでココロとカラダを健康にしてみる。
暑さと雨とにめげそうな日には涼やかなお菓子をいただく。
若々しい新茶には伝統の小さなお干菓子を添える
春に誘われて乙女な和菓子をいただく。
高橋真生

高橋真生(ひらがな暮らし案内所ライター、文章表現講師。 暮らしや育児・本など、人とことばを軸にした情報の発信と、自分の思いを表現する力をつけるお手伝いが主な仕事。 甘いもの好きで、やんちゃな男児にてんてこまいの新米母。 ■ブログ ひらがな暮らし案内所 http://hiraga7.exblog.jp/ ■AllAbout公式ブログ 日本のこと、日本のことば http://maitaka84.hatenablog.com/

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