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第十二回:はじまりと、これから。子どもと、手作りから教わったこと

こんにちは、FU-KOこと美濃羽まゆみです。

今年の6月は見事なまでの雨続き。
梅雨らしいといえば梅雨らしいのだけど、たまった洗濯ものを見るとちょっぴりため息。

暑いのは苦手やけど、カラカラに乾いたシーツにうーんと体を伸ばすのは大好きです。
まぶしいほどの太陽が、恋しいですね。

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そんな梅雨どきの恒例行事、梅仕事。
週末に届いた15kgの梅で、梅干と梅酒、梅ジャム作りに精を出しました。

今年も子どもたちは立派な戦力。

2歳になったまめぴー(長男)は、今年初参戦。
最近お姉ちゃんがやることは自分もやらなくては気が済まず、
「ぴーも、やる!!」と意気込んでいます。

梅を綺麗に洗ってざるにあけた後、爪楊枝でへたをとるのですが、
まめぴーの手にかかると、なぜかこんなことに。

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梅がメッタ刺し(苦笑)
最初に痛んだのを渡しておいてよかった・・・。

さて、早いものでnunocotoさんでコラムを始めさせていただいて、なんと一年。
四つの季節がめぐり、元に戻ってきました。

ハンドメイドのこと、子育てやインテリアのこと。
担当者の方が太っ腹な方で(笑)
好きなことを好きなように綴っていただいていいですよー!って。
本当に楽しかった。
読者の方たちにも、楽しんでいただけたのなら良いのですが。

日々私がどんなふうに感じて、どんなふうに物づくりをしているのか、
すこし身近に感じていただけたのなら、嬉しいです。

そんなコラムの連載も、今回が最終回となりました。
とってもとっても、名残惜しいです・・・。

今回は最後のまとめとして、今年で7年目となるFU-KOとしての活動のはじまりと道のり。
そして、手作りを続けるうちに感じるようになった私自身の暮らしの変化について、
お話させていただけたらと思います。

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プロフィールなどを読んで知っていただいている方もいらっしゃるかと思いますが、
FU-KOとして活動をはじめたのは、現在8歳になった長女ゴンが生まれて1年半後のこと。

無心になって手を動かす喜びは、物心付いたころから記憶に残っていて、
小さい頃から絵を描いたり、文章を書いたり、物づくりをするのが好きでした。
病弱で学校を休むことが多かったのも、多少影響があるのかもしれません。

そういえば、
小学生のころはポリ袋に油性ペンで絵を書いてスライドショーをつくり、
上映会をしたことがありました。
中学生のときには漫画を描いていて友人と同人誌を出したり、
高校生になっておしゃれに目覚めてからは、洋服のアレンジをしたり、
手作りアクセサリーを作ったり。

一時なぜか、プラモデルに凝ったこともあったな(笑)

でもそれは、作ったものを誰に手渡すでもない、あくまでも自分の趣味。
心から満足するものは作ることができず、それを仕事にしようとは思いもしませんでした。

ミシンも基本の操作を家庭科で習ったぐらい。
そのときの課題は「タイトスカート」製作意欲をかき立てられず、成績は中の下(笑)

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大学卒業後、就職。
25歳のとき結婚して、当時ついていたネットショップの仕事は、
ハードワークすぎて辞めることになりました。

そして、27歳のとき出産。
長女が生まれてから、洋服作りの楽しさに目覚めました。
最初は、当時(今も)成長曲線の一番下、細身で似合う洋服が無かったゴンのために、
体に合った洋服を着せてあげたい、と思ったことがきっかけ。

市販の型紙本を探しましたが、気に入ったものがあまりなく、
私好みのシックでナチュラルなものは、大体が100サイズ(4~5歳)からで。

よし、「無いなら作ってみよう!」と、もともとの物づくり人の血が騒ぎ(笑)
最初は簡単なキャミソールやスカート、パンツなどから、見よう見まねでチャレンジしてみました。

縫い方が分からないときは、ネットで調べたり、洋裁の専門書を読んだり、
市販の洋服の裏を隅から隅まで眺め、時には解体して独学で作り方を学ぶ日々。

最初作り始めたサイズが70サイズや80サイズだったので、
布が1mもあれば大体二枚ずつは出来てしまいます。

そこで、一枚は娘のために、もう一枚はおすそ分けのつもりで、
当時不要になった洋服やベビー用品などをお譲りするのに使っていた、
オークションサイトにアップすることにしたのです。

初めて落札いただいたとき、ものすごく嬉しかったなあ!
目には見えないけれど、大きな扉が開いたような気がしました。

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実は、その当時、初めての育児でてんてこ舞い。
産後の不安定な精神状態にくわえ、娘はわりと奔放な性格で、手をやいて。
しかもあまりお昼寝をしてくれず、食も細くて色々と気に病んだものでした。

二人目を育ててる今は「何でこんなことで悩んでたんやろ?!」と思うんやけど、
割と真面目で完ぺき主義な性格があだをなしたのか、
当時は鬱々とした日々やったなあ。

同じ時期に出産した友人たちは、どんどん社会に復帰していく。

この状態がどれぐらい続くのだろう・・・と終わりが見えない辛さ。
子育てに終始する繰り返しの日々のなか、どこかで、
「世間とつながりたい!」という気持ちもあったのだと思います。

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ネットオークションで販売を始め、数ヶ月経つと、
ありがたいことに、二度三度とリピーターになってくださる方も増えてきました。

それからは無我夢中。
いろんなデザインを考え、着心地をよくするために、美しいシルエットを作るために、
必死で試行錯誤を重ねてきました。

リクエストがあればサイズ展開も増やし、再販やセミオーダーのご希望も出来るだけお答えして。
求められているものに、出来る限り応えていかなくては、という思いがありました。

一時、無理をしすぎて体調を崩し、ご迷惑をお掛けしてしまったこともあったので、
体調管理や食事のことを気をつけるのも仕事のうち、と少しずつ改善していきました。

よく「子育ても洋服作りも大変そうなのに、暮らしのことまで気をつけていてすごいですね!」
と言っていただくことがありますが、私にとっては逆。

子どもとの時間にじっくり向き合い、洋服作りに専念するためには、
しっかりと日々暮らしていかなくてはいけなかった。

忙しさという制約があったからこそ、今しかない子どもとの時間を楽しみきろう、
美味しいごはんをじっくり味わおう、丁寧に洋服を縫おう、そう思えたのだと思います。

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ゴンが3歳のとき、それまで一時保育の利用や母に預けたりでしのいでいたのですが、
希望が通って保育園に入れることになりました。
寂しかったけど、毎日生き生きと園に通い、どんどんたくましくなっていく娘を見て、
頼もしかったな。

その際にお客様のご要望もあってネットショップに移行したのですが、
ありがたいことにリピーターのお客様やクチコミで見に来てくださる方もどんどんと増え、
100着近くのお洋服が数分でSOLDOUTになってしまうようになりました。

「欲しいのに買えない!」というお声が、本当に心苦しくて悔しくて。
そこからはずっと「どうすれば早く、丁寧に作れるか」
「どうすればより多くのお客様に満足してもらえるのか」と効率を追求してきました。

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オークションで洋服をご紹介するのと同時に、ブログもはじめました。
「何があっても毎日更新する!」と決め、家族で過ごす休日以外、ほぼ毎日何かしら綴ってきました。

毎日更新を決めたのは、洋服を買っていただく方に、
私が日々どんなふうに感じながら暮らし、
物づくりをしているかを感じてもらいたかったから。

私自身がそうだけど、手作りの品って市販品にくらべて高価でも、
作り手の想いが伝わってきて、良い材料で作られていたら欲しいし、
手に届いてからもその想いを抱きながらずっと大事にすると思うのです。

天然素材で、上質な素材で出来ていたら、
汚れや経年変化も、味として楽しむことができる。

私が作った洋服は、子どもとの時間のほんの一時を彩るものだけど、
子育ての時間って親子にとってすごく濃密な時間。
笑ったり、泣いたり、楽しんだり、時に怒ったり。

そんな思い出のなかでともにあって、
後で服を見返せばそのときの思い出が鮮やかによみがえる。
ずっと手元に置いておきたくなる。
洋服作りのテーマを「思い出に残る服」にしたのも、そんな思いからでした。

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また、町家暮らしのこともよくアップしてきました。
引越してから子どもとの生活に必死で荒れ放題だった我が家も、
あえてご紹介していくことで気を引き締めようという狙いもあったかも(笑)

でも毎日更新することで、文章を書くこと、思いを形にすることが苦手でなくなった気がします。
子育てで大変なときも、「あ、ブログのネタになる!」と思えば、笑って見られたり。
辛いことがあっても、文章にすることで気持ちの整理も付くようになりました。

最初は家族や友人ぐらいしか見ないブログだったのが、
ハンドメイド以外の暮らしのことやインテリアのこと、趣味のこと、
もともと好きだった保存食作りなどのことも載せてきたからなのか、
今では一日に驚くほどの数のアクセスが。
「ハンドメイドはしないけど、ブログのファンです」と言ってくださる方もいらして、嬉しいことです。

ブログを見ていてくださって、洋服作り以外のお仕事をご依頼いただくことも年々増え、
nunocotoさんもそのひとつ。

ブログを通じて編集社さんから声をかけていただき、
去年、今年と続けて洋裁の著書を出させていただくこともできました。

ご縁って不思議やな、ありがたいな、ってつくづく思います。

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何度か連載中にも書いたことがありますが、私は洋裁の専門の勉強をしていません。
でも、「作りたい」という思いが先にたち、「欲しい」と言って下さる熱い気持ちに、
ただただ応えてきて、今の私があります。

よくハンドメイドをされる方からご質問のメールをいただきます。
「どうすればうまく作れるようになりますか?」

まだやったことが無いけれど、いずれ服を作れるようになりたい、という方からは
「初心者でも作れますか?」などなど。

その時にお答えすることは、大体いつもこんなふう。

私も、まだまだうまく作れるようにはなっていません。
これからずっと、死ぬまで生涯勉強していくのだと思っています。

でも、作ってみたいという気持ちがあるのなら、
やっぱり、色々考えずにまずは、一枚作ってみること。

いつか勉強してから・・・とか、
いい布に出会えたら・・・
時間があったら・・・

そう考えているうちに、どんどん時間は過ぎ去ってしまいます。
それって、ちょっともったいない。

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忙しいときにこそ、手作りをする時間を持つことって、大事やな。
この8年近く、子どもたちと過ごしながら手作りをしてきて思うことです。

何気ない繰り返しの毎日に、手作りという楽しみをプラスする。
洋裁が苦手な方なら、何もミシンじゃなくてもいい。
料理だったり、写真だったり、絵を描いたり、何なら掃除や整理収納でも。

自分の直感を信じて、より良いやり方を工夫する。
新しい何かをクリエーションする。
それが、家族や誰かの役に立つものであることが重要です。

誰かの真似になってもいいから、完璧に出来なくてもいいから、
とりあえず簡単なものから試しにひとつ、やってみて。
人間って欲張りにできているので、「出来た!」の喜びが、
「また作りたい!」と、次の手作りへのモチベーションにつながるのです。

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幼い子どもとの時間のなかで何が一番辛いかというと、
ただただ「自分の時間を持つことができない」ということではないでしょうか。
何もかも子ども優先で、自分のことは全部後回し。やりたいことが全部中途半端。
そんな状態が続いたら、どんなに可愛い子どもでも、どんな元気なお母さんだって参ってしまう。

なのに、「なんでそんな大変なときに手作りを?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ぐっと集中してなにか一つのものを作り上げると、
じんわり満足感が得られるもの。

ただただ受け取る人のことを考えて手を動かすこと。
毎日同じ繰り返しで、成果の見えにくい子育て中には、
とくに必要な時間に思えて仕方ないのです。

手作りという短いスパンのなかで、日常でなかなか出来ない「最後までやりきる」ことができると、
気になっていた悩みが、なぜかすこし気にならなくなっている。
喜んでくれる子どもや家族が、愛おしく見えてくるから不思議です。

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実は、「最後までやりきる」ことの大切さを教えてくれたのは、
二人の子どもたちでした。

8歳のゴン、2歳のまめぴーはとってもマイペース。
そんなふたりを見ていると、なんでこんなことにこだわるの?
なんでこんなこと、ずーーーっとやってるんだろう。
不思議に思うことがあるのです。

保育園から家まで5分の道のりを1時間かかったことがあったし、
公園に行くと帰りたがらず、見れば靴や靴下をほっぽって足を砂にうずめている。
仕方なく物陰で見ていると夕方になってしまっていたり(笑)
洋服を着せると「自分でやる!」と言って、全部脱いで最初からやりなおし。
他にもそんな謎な行動は、枚挙に暇がありません(笑)

成長の過程や性格の個人差はあると思うのですが、子どもって「こだわり」がとても強い。
ゴンのときはそんな状態を目の当たりにして「しつけなくては!」と
押さえつけてしまおうとしたこともあります。(今思えばとっても反省・・・)

でも最後までやりきって、「出来た!」というぴかぴかの笑顔を見せると、
子どもって途端に興味をなくしませんか?
あれ?今までのこだわりってなんだったの?ってぐらいあっけなく。

そこで気づいたのです。
あ、できるようになったら、もういいんだ。
初めてのことを、納得いくまで経験したいんだな。

そう思ったら、謎な行動も「がんばれ!」と応援できるようになりました。

これって、私たちもそうだよなあ。
忙しいから、いつかできるようになったら、と先延ばしにせずに、
今できることを全力で頑張ったら、どんなに楽しく毎日を過ごせるだろう。

子どもに教わったことは他にも沢山あります。

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最後に・・・

この7年ちかくの間、子どもとの時間を過ごしながら、
ずっとひとりでFU-KO basics.を運営してきました。

こうやって振り返ってみると毎年のように新たな進展があって、
一見順風満帆なようだけど、もちろん辛いことやしんどいこともあって。

でも辛いことも、思い起こせばその都度
私に欠けていたものを思い出させてくれる、いいきっかけになっていた。
起こるべくして起こったことだったんだなと思います。
反省し、教訓を次に生かすことで前に進んでくることが出来ました。

そんな、前に進むための一番の推進力になったのは、
お客様からの嬉しいメールや、FU-KOのお洋服を着てくれている可愛いお写真、お手紙。
ブログを読んでくださる方からのお便りも。

私が「やりたい」と思っていることを「素敵!」って思ってくださる、
皆さんの共感の気持ちが後押ししてくれました。

そんな、いままで私のことをずっと応援してくださった皆さんへの、感謝の気持ち。
そして、nunocotoさんでの最後の連載を記念して、
今回nunocotoさんでのプレゼント企画に、私から賞品をご提供させていただくことになりました。

詳細ページはこちら→【夏はすぐそこ!プレゼントキャンペーン】

みなさまのご応募をお待ちしております!

最後まで読んでくださり、本当に本当に、ありがとうございました!

★オマケ★

タイトルに写っているコアラさんのぬいぐるみ。
実はこれ、ゴンが1歳のときに作ってあげたもの。
当時ゴンのお気に入りのぬいぐるみで、ずっとお出かけには連れていっていたなあ。

このぬいぐるみの名前が「ふもふもしたコアラ」さん。
そう、「FU-KO」の名前の由来となったのです(笑)

「京都、町屋だより春夏秋冬」の一覧

第十一回:簡単リメイク、サスペンダーつきカットソーを手づくり
第十回:かごのある暮らし(アトリエ・子ども部屋・居間編)
第十回:かごのある暮らし(だいどこ編)
第九回:わたしの小さなくふう
第八回:毎日使う、たからもの
第七回:私の書庫から、日々を楽しむための本たち
第六回:子ども服と麻生地について
第五回:子どもと楽しむ、秋冬のしつらい
第四回:子どもと、育てていく。町家の子供部屋作り


◇おしらせ◇


布・生地の通販サイト:nunocoto fabric
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FU-KO basics.「思い出に残る服・思い出を作っていく服」をテーマに、シンプルな洋服を作っている。京都の築90年の町屋での、子育てや日々の暮らしをつづったブログも人気。ブログ http://fukohm.exblog.jp/ 著著に『作ってあげたい、女の子のお洋服』『毎日着たい、手づくり服』(日本ヴォーグ社)がある。

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