第九回:わたしの小さなくふう

こんにちは、FU-KOこと美濃羽まゆみです。

すっかり春らしくなってきましたね。

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日に日に強くなる日差しに誘われて木々が芽吹き、
小さな花が道端に咲いて、色鮮やかになっていく。

自然の少ない京都の街中に住んでいても、
あちこちに小さな春を見つけては、心躍らせています。

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さて、第九回目のnunocotoさんのコラム、
今回は、わたしの小さなくふうについて。

私の仕事は、自分でデザインした洋服を縫うこと。
他の仕事の兼ね合いから、オーダーをお受けする時期によって差はありますが、
大体月に100着前後の製作をしています。

日々の課題は、どうやれば早く、きれいに仕上げられるか。
そのための小さなくふうを、試行錯誤して考え、実践してきました。
そんなくふうの一部を、ここでご紹介しますね。

突然ですが、布をただ「まっすぐ切る」のってなかなか難しくないですか?
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四角いハンカチや直線縫いのスカートを作るときなど、
鋏の刃先と布目と、交互ににらめっこしながらやってみても、
なかなかうまくいかない・・・

どうすればゆがみなくきれいに仕上げられるだろう?
と考えたのが、「裂く」ことと、糸を目印に使う方法。

「裂く」のは、文字通り布を裂くのです。
目がつまった綿素材のローンやシーチングなどは、切れ目をいれて引き裂くと、
あっけなくきれいに裂けてしまいます。

最初にリバティを裂いたときにはさすがに勇気がいったけれど(笑)
慣れるととても早くて便利。
最後に裂け目をアイロンで整えるのを忘れずに。

でも、ガーゼなどの甘く織られた生地や、ツイルなどの綾織のもの、
麻が入った生地は裂くと生地に「つれ」ができてしまい、うまく裂く事ができません。

そのときに使う方法が、織られている糸を目印に使う方法。
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画像のように、寸法を測ったら布端に小さな切れ目を入れ、
1~2本糸を抜いていきます。

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あとはそれを目印にカットしていけばOK。
きれいにまっすぐ切ることができます。

つぎに、アイロンがけ。

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アイロンがけも、裁断に次ぐ大事な作業のひとつだと思います。
縫う前に折り目をつけておく、カーブをしっかり形作る、
布の目をそろえる・・・
要所要所でちゃんとアイロンがかかっているかで、仕上がりが全然違ってきます。

折り目をつける作業で役立つのがこのアイロン定規。
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耐熱加工がされている特殊な定規で、定規をあてながらアイロンがけができ、
効率アップ。
手芸店などで販売されています。

縫うときにもちょっとしたくふうを。

裾の三つ折などの縫い幅を均一に仕上げるのに、
チャコやしつけで予めしるしをつけたり、まち針でとめたりするのも勿論いいのですが、
ガイドを目安に縫うのもひとつの手。

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職業用ミシンにはこんな感じに縫い幅のガイドがついていますが、
家庭用ならマスキングテープや油性ペンでしるしをつけてもいいかもしれません。
針先ではなくこのガイドをみながら縫い進めていくと、歪みなくきれいに縫えます。

100均の道具も、役立ちます。

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畳の部屋でミシンをふんでいると困るのが、
フットコントローラーがすべること。

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このあいだ100均でみつけた滑り止めマットを、
フットコントローラーの裏側に両面テープでぺたり。
驚くほど滑らなくなり、手直しの手間がはぶけて、
大分時短につながりました。

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わたしが道具を収納しているのはミシンの横に置いた小さなたんすですが、
扱う生地の色が多ければ多いほど、増えてしまう糸とボビン。

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100均で売られているチャックつきの袋は、
糸とボビンをまとめて入れておけて便利。
次に使うときに色の間違いも防げます。

ちなみに、わたしの場合、糸はいつもネット注文です。
手芸店へ買いに行くなら、布の切れ端を持っていって色をあわせて・・・
という手間がかかるもの。

色見本(専門店で買うことができます)を常備しておけば、家にいながら色あわせができ、
価格も手芸店より安いことが多いです。

次に、はぎれの始末について。
ハンドメイドをしているとどうしてもたまりがちなのが、
生地のはぎれ。

私の場合、沢山のアイテムを同時に作ることが多いので
ただ一枚洋服を作るのと比べればまだ少ないかもしれないけど、
それでもはぎれが出てしまうのがハンドメイドの悩みでもあります。

わたしは、大きなはぎれは、あずま袋に仕立てたり。

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小さなものは、お弁当入れにちょうどいいサイズ。

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大きいものはかごの目隠しにも。

小さめのはぎれは、四角いものならガーゼとあわせてハンカチに。

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こんなふうに丸いものは鍋つかみにします。

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裁断のついでに丸く切っておき、カゴにためておきます。
まとまってきたら色の組み合わせを考えて、
中にフリースかキルト芯をはさんで鍋つかみに。

生地の「耳」も捨てません~

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こよりを作るようにゆびでしごいて、ロープ状にしたら、
小さなモチーフをつけてアクセサリーに。

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ネックレスとして使ったり。

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ぐるぐる腕にまいて、ラフなアクセサリーとして楽しみます。

ラッピングのリボン代わりにしても可愛いですよ。

これらのはぎれでできた小さなこものは、
友達へのちょっとしたお返しに添えたり、
オーダーいただいたお客様へのノベルティとして差し上げたり。

気に入った生地をきれいに使いきることができると、すっきり。
手づくりの醍醐味かもしれません。

最後に、家事のくふうもご紹介。

最近はじめたのが、食べる前に少しだけ洗い物をすませておくということ。

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作り終えたらお腹も減ってるし、「さあ食べよ!」となってしまいがちやけど、
そこは一呼吸おいて、料理に使った鍋やざるだけ洗っておく。

そのあいだに熱々の料理もほどよく冷めて、舌をやけどすることもないし(笑)
作りたてなら鍋も温かくて、汚れも落ちやすいもの。

洗い物の量も減るから、食べたあとお皿を洗うのもちょっとハードルが下がったような。
食べたあとの自分にちょっと「楽ちん」をプレゼントするような感覚です。

この習慣はつづけていきたいなあ。

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いかがでしたでしょうか、私の小さな「くふう」たち。

ひとつひとつは小さなアイデアかもしれへんけど、
それが少しずつ使い勝手をよくしたり、効率をあげたり。
日々を楽しむことにつながったり。

昔ながらのやり方を守り続けることも大事やけど、
もっといい方法はないかを考え、ひらめきをひとつずつ形にできたら、
それが大きな力を生むこともあると信じています。

なんてこんなことを書いていると、
とてもまじめな人間のように思われがちかもしれへんけど(笑)
本当のことを言うと、私はもともと目の前のことにすぐ夢中になってしまい、
なかなか嫌いなことには手を付けられない、ぐーたらなタイプ。

楽をしようとして失敗しては、
それが悔しいから、同じ過ちは繰り返さないよう、
無い知恵を絞って色々考えるのかもしれません。

ぐーたらで、怠け者のわたしだから思うこと。
楽するための、ひとがんばり、ひとくふう。
今日も探しながら過ごしていこうと思います。

「京都、町屋だより春夏秋冬」の一覧

第十二回:はじまりと、これから。子どもと、手作りから教わったこと
第十一回:簡単リメイク、サスペンダーつきカットソーを手づくり
第十回:かごのある暮らし(アトリエ・子ども部屋・居間編)
第十回:かごのある暮らし(だいどこ編)
第八回:毎日使う、たからもの
第七回:私の書庫から、日々を楽しむための本たち
第六回:子ども服と麻生地について
第五回:子どもと楽しむ、秋冬のしつらい
第四回:子どもと、育てていく。町家の子供部屋作り


◇おしらせ◇


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FU-KO basics.「思い出に残る服・思い出を作っていく服」をテーマに、シンプルな洋服を作っている。京都の築90年の町屋での、子育てや日々の暮らしをつづったブログも人気。ブログ http://fukohm.exblog.jp/ 著著に『作ってあげたい、女の子のお洋服』『毎日着たい、手づくり服』(日本ヴォーグ社)がある。

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