第七回:私の書庫から、日々を楽しむための本たち

こんにちは、FU-KOこと美濃羽まゆみです。

このあいだ子どもたちと天神さんに出かけたら、
梅のつぼみがふくらみかけていました。

春の兆しに心踊ります。

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とはいえ、まだまだ暦も大寒を過ぎた頃、一年で一番寒い季節です。

年末年始の疲れも出てくる時期だからでしょうか、
インフルエンザや胃腸風邪などもよく耳にします。

くれぐれも皆様お気をつけて、あったかくしてお過ごしくださいね。

さて、
今年はじめのコラムは、本について。

ハンドメイドや家事、子育てのモチベーションをあげる私の書庫を、
ちょこっとご紹介致します。

まずは家事や台所についての本。
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『暮らしのヒント集』(暮らしの手帖社)
暮らしの手帖は大学生時代から愛読している雑誌ですが、
その中にある人気コラム、「暮らしのヒント集」をあつめたもの。

中身は、たとえばこんなふう。

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お店で自分がほしいとおもったものを二つ買って、
ひとつを友達にプレゼントしてみませんか。

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時には家の中での休暇を楽しみましょう。
なにもしない一日ときめて、心と体を休めるのも充実した休暇のひとつです。

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あなたにとっての上質なものやこと。
それを見つめて育ててあげましょう。
美しい暮らしのヒントになります。

家事のこと、料理のことから、
人生訓的なもの、哲学的なもの・・・内容はさまざまです。
それぞれがシンプルで、しかも端的に心に響く言葉ばかり。

また、読んですぐにピンとこなくても、
暮らしのなかでじわじわと育って、気が付けば心のよすがになっていくような、
そんな珠玉の言葉たちが綴られています。

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『長尾智子の料理1, 2, 3』『続 長尾智子の料理1, 2, 3』
(暮しの手帖社)
長尾智子さんの料理本は、
同じく暮らしの手帖のエッセイで知ったもの。

料理本なのですが、レシピだけでなく料理に関わるさまざまな事柄が語られています。
日々どんなふうに考え、どんなふうに暮らすのか。
長尾さんの生き様が、料理に対する考え方の向こうに透けて見えるようです。

料理すること、食べることは生きることなのだな、
と改めて気づかされます。

レシピも本当に美味しそうで!
あまり料理本を見て料理することが少ないのですが、
素材の持ち味を生かすような、まねしたくなる料理法が沢山載っています。

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『毎日、こまめに、少しずつ。 ためないキッチンと暮らし』(KADOKAWA/中経出版)
ワタナベマキさんの本は偶然本屋さんで見つけたもの。

恥ずかしながらそれまでワタナベさんのことは存じ上げなかったのですが、
グラフィックデザイナーを経て料理家になられた経緯に、
まず興味がわいて。

小さなお子さんがおられながら精力的にお仕事をされていて、
丁寧に、しかも楽しく毎日を過ごされている様子にパワーをもらえます。

保存食や自家製調味料、キッチン道具の整理整頓について、
アイデアをいただける一冊です。

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『使い切る。有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭』(講談社)
あらゆる意味で刺激的な一冊。

二人目を妊娠中、立ち寄った本屋さんで目にして。

もともと独身時代にインテリア雑貨のお店で働いていたので、
ラ・バーゼなど、シンプルで機能的なキッチン用品をクリエイトされた方、
ということは知っていました。

でも、ぱらぱらと読み進めるにつれ、
その、ストイックなのに大らかな生き方に一目ぼれ。
食材を使い切る、生活用品を使い切る、そして最後は「自分を使い切る」。
そう言い切れる生き方をされているのだと思います。

ミーハーなわたしは、
影響されてマキタのクリーナーを買ってしまったほど。
(でもこれは本当に買ってよかった!)

その後、有元さんの和食や保存食の本も購入。
数少なかった我が家のレシピに(笑)彩を添えてくれています。

それまでも心がけていたけれど、
この本をきっかけにしてさらに「使い切る」ことを台所仕事、
ハンドメイドでの命題としてきたわたし、
こんな本にも吸い寄せられました。

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『台所道具を一生ものにする手入れ術』(誠文堂新光社)

生活道具を作り手から売り手へとつなぐお仕事をされてきた日野明子さんが、
大事に作られた一生物の台所道具を、
いかに上手に手入れして暮らしに溶け込ませていくのか、
作り手や使い手にインタビューしながら、一冊の本にまとめられたもの。

木の器やざる、作家さんのうつわ。
ガラスや漆器、鋼のフライパンに至るまで、
あらゆる台所道具のお手入れ方法、使い方が詳細に綴られています。

昔ながらの道具は自然素材でできているものが多いので、
それぞれの性質に合った使い方、お手入れ方法があるもの。
我が家にも竹の道具や作家さんのうつわ、木の器が多くあるので、
知っているようで知らなかった手入れ術、症状別の対処法。
とても参考になります。

逆に、なんだか手入れが難しそう・・・と敬遠していた
漆器や銅の器も、基本をまもれば敷居が高くないのだということも書かれていて、
興味がわきました。

シリコンやプラスチックなど、
メンテナンスフリーの便利なキッチン用品があふれている現代だから、
それに比べて高価な、天然素材の台所用品、
手入れをしながら使い続けていくことは、時代に逆行することかもしれません。

でも、手入れして、手間ひまをかけていくことで、愛着もまた増すもの。
ひいては、それが日々を楽しく、かけがえのないものにしていく気がします。

突然ですが、
「ベストセラー」アレルギーです(笑)

「流行り物」を警戒している、と言い換えられるかもしれません。

「流行り物」は大体が、「わかりやすいもの」です。
わかりやすいものは、見た目だけ整っていて快適だけど、
中身がないことが多い気がする。

すぐに飽きられ、消えていくことは辛いこと。
せっかくの縁だから、じっくり付き合えていけるものを選びたいと思うから、
その対極にあるような「流行のもの」を毛嫌いしてしまうのかも。

でも、その中にも時折、がつんとくるような数冊があって、
そのひとつがこちらでした。

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『新・片づけ術「断捨離」』(マガジンハウス)
発売後すぐにベストセラーになっていたので、
やはり警戒していたのですが(笑)
雑誌で教育論かなにかについて語られていたのを読んでから、
印象ががらりと変わりました。

単なる片付け術というよりは、むしろ「哲学」と呼んでいいほど。

片付けや収納に困ったとき、なんだかもやもやすっきりしないとき、
時折ぱらぱらとめくっては「よし、やるぞ!」と元気をもらいます。

そして次は、こちら。

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『もっと楽しく、少しだけていねいなお母さん仕事』(ワニブックス)
ひぐまあさこさんという、
3人のお子さんがおられる主婦の方が10年続けられてきたブログをまとめた、
子育てや家事についての本です。

ベストセラー、そして「ブログで人気!」みたいな言葉にも
アレルギー症状がでてしまうのですが(笑)
こちらは良い意味で期待を裏切られました。

まず、日々の生活や普通の暮らしを一番大事にされていること。

おかあさんってすばらしい仕事。
でも、人間だから疲れることもあるし、落ち込むこともある。
だから、お母さんが笑顔でいられるためにはどうすればいいのかな?
そんなところからのスタートだから、
すっと心にしみこんでくるのかもしれません。

そして、本を読んでいるあいだずっと感じるのが、
家人へのまなざしの温かさ、そして何より、家族として生活を楽しもうとする気持ち。

昨今「丁寧に暮らす」、ということばかり声高に言われている気がするけど、
それだけだと疲れてしまいます。

まずは楽しく。笑顔でいること。
そこから自然と「丁寧」も生まれていくのだな、
ということを再認識できた一冊でした。

ここまできて、ハンドメイドについての本がまったくないことに気がつきました!(笑)

製作でぶれそうになったら、読む本があります。

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『ミナ ペルホネン?』(ビー・エヌ・エヌ新社)『ミナを着て旅に出よう』(文藝春秋)
皆川明さんの本。

ミナペルホネンというブランドを立ち上げられ、布作りからパターンまでオリジナルのものづくりを続けてこられた、皆川明さん。

時代や流行に左右されない、唯一無二の世界観。
まっすぐ素材に取り組むこだりあふれる仕事ぶりに、思わず背筋がのびるのです。

ちなみに、ミナペルホネンのお洋服は大好きだけど、私は一着も持っていません。

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こんなバッグや、アクセサリーをすこしだけ。

ミナペルホネンの洋服は、存在感と個性が尋常ではないので、着る人を選ぶようです。

でも、いつか似合う一着を見つけられるのではないかと思っています。

そして最後に息抜きの一冊を。

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『だんだんおかあさんになっていく』(PHP研究所)
書かれたのはおーなり由子さん。

京都のメリーゴーランドさんという子どもの本屋さんで見つけたのですが、
おーなりさんの自身の妊娠、出産、子育てを経験されたなかで生まれたシンプルな詩集。
これまたおーなりさんが自ら描かれたほんわかしたイラストが飾ります。

愛読っぷりが表紙のぼろぼろさ加減に現れていると思いますが(笑)
いやなことがあってすこし落ち込んだ夜。子どもを叱りすぎて自己嫌悪。
なんだか思うようにいかない。
そんな時、つい手に取ってしまいます。

すると、徐々に雲が晴れてきて、日差しが差し込むような。
心がすかーっとしてきます。

詩集といえば、まどみちおさんの本も。

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『まど・みちお画集 とおい ところ』(新潮社)

「とおいところ」や
「どんな小さなものでも、見つめていると宇宙につながっている」
よく読みます。

童謡「ぞうさん」で有名な詩人、まどさん。
一昨年惜しくもなくなられましたが、生き物や自然に向けられるその温かでまっすぐなまなざしには、いつもはっとさせられます。

一日の終わりにページをめくっては、
繰り返し繰り返し、心にしみこませてきました。

詩集は漢字も少なくて、シンプルに綴られているから、子どもに読み聞かせるにもぴったり。
現在一年生の長女、ゴンは最近読み聞かせを卒業しましたが、詩集は気に入ってよくめくっているようです。

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いかがでしたでしょうか。

ジャンルもばらばら、著者もばらばら。地味で統一性のない内容ですが(笑)

ただ、どれも基本は同じ。
「日々を楽しく、そして少し丁寧に」
そんな暮らしのヒントが詰まっている気がします。

もし心に響く一冊があれば、図書館で借りたり、本屋さんで立ち読みされてみてください。

あなたの書庫にも加わる一冊があれば、嬉しいです。

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「京都、町屋だより春夏秋冬」の一覧

第十二回:はじまりと、これから。子どもと、手作りから教わったこと
第十一回:簡単リメイク、サスペンダーつきカットソーを手づくり
第十回:かごのある暮らし(アトリエ・子ども部屋・居間編)
第十回:かごのある暮らし(だいどこ編)
第九回:わたしの小さなくふう
第八回:毎日使う、たからもの
第六回:子ども服と麻生地について
第五回:子どもと楽しむ、秋冬のしつらい
第四回:子どもと、育てていく。町家の子供部屋作り


◇おしらせ◇


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FU-KO basics.「思い出に残る服・思い出を作っていく服」をテーマに、シンプルな洋服を作っている。京都の築90年の町屋での、子育てや日々の暮らしをつづったブログも人気。ブログ http://fukohm.exblog.jp/ 著著に『作ってあげたい、女の子のお洋服』『毎日着たい、手づくり服』(日本ヴォーグ社)がある。

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