20147/29

杏でつくるとっておきのジャム

真ん中に種が一つある果物が好きだ。
枇杷、桃、杏、プラム、プルーン、すもも、さくらんぼ……。
繊維質の果肉が瑞々しく、甘酸っぱく、口の中いっぱいに広がる。
時々、蜜が手の上に滴り落ちる。
迷わずぺろんと舌で舐める。
お行儀の悪いことをしてしまったという罪悪感と、
一滴も残さず食べてしまいたい欲が絡まるが、大抵の場合欲が勝つ。
当たり前のことだ。


これらの果物の中から、この時期一つ選ぶのなら、私は迷わず杏を選ぶ。
正直、杏は生食で食べるのには向いていない。
酸味があまりにも強く、果肉に水分がないためだ。
そのため、市場に出回る期間も短く、1週間から10日間ほど。
けれども、その欠点を補ってもありあまるほど、
杏が持つ色や放つ香りは生に満ちあふれて、私を惹きつける。
そして、一手間かけることで美味しく生まれ変わることも、
惹きつけられる理由の一つだと思う。

杏01

私は毎年杏ジャムを作る。
なり口をとり、水で洗う。水気を拭いて、半分に割って種をとる。
細かく刻み、ホーロー鍋の中へ。砂糖をかけて一晩寝かせる。
次の日、鍋を火にかける。沸騰したら砂糖を加え、果肉をつぶしながらただひたすら煮込む。
好みの固さのちょっと手前で火を止め、レモン汁をたらす。
粗熱を取り、味を落ち着かせる。
ゆっくりと時間をかけて固まっていき、やがてジャムとなる。


身体に染み付いているたったこれだけのこと。
そのことを無心に、ひたすらに、ひたすらに手だけを動かす。
そうしていくうちに心がどんどん落ち着き、感覚が研ぎすまされていく。
ことこと、ことこと、鍋の音が聞こえる。
ゆらゆら、ゆらゆら、台所の灯りが風にゆれる。
へらで果肉をつぶしながらかき混ぜる、やけどに注意。
そして甘酸っぱく華やかな匂いとともに湯気が立つ。
吸い込む、吸い込む、身体いっぱい。
身体に残る、満たされた想い。
そして私は思い知らされる。
てしごとを愛してやまないことに。


杏02

杏ジャムのつくりかた

【材料】
杏 500g
砂糖(水出し用) 1/2カップ
砂糖(煮出し用) 1~1と1/2カップ
レモン汁 大さじ1


【下準備】
・杏はなりくちを竹串でとったあと、水洗いをし、水気を拭き取ります。
・なりくちから包丁で半分に切れ目を入れます。ねじって二等分にし、種を取りのぞきます。
・皮は剥かずに細かく切り、鍋(ホウロウもしくはステンレス製)に入れます。
・砂糖1/2カップを上からかけ1晩から1日置き、杏から水分が出てくるのを待ちます。


【作り方】
1.鍋を強火にかけます。
2.沸騰したら弱火から中火にし、お砂糖を1カップから1~1と1/4カップ加え、好みの甘さに整えます。
3.杏がとろとろになってきたら、レモン汁大さじ1をまわし入れ、火から下ろします。皮も一緒に煮ているので、冷めると固くなります。好みの固さより少し緩めの固さで火から下ろすことがポイントです。
4.煮沸消毒した瓶に入れて出来上がりです。蓋は瓶が冷めてからしめましょう。


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吉澤美季

東京都在住。 キャンプリーダーとしての長年の経験を生かし、自宅にて、親子向け・大人向けの料理教室を主宰。ひょんなところから知り合った写真の仲間と「寫眞譚」を結成して活動中。 手仕事をこよなく愛し、「幸せは日々の暮らしの中にこそある」がモットー。だからこそ、ていねいに、愛おしみながら、慈しみながら。 ブログ「きょうもていねいに。」http://yoshizawamiki.com/

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