第一回:町屋で暮らすこと。手作りすること。

こんにちは。そして、はじめまして。

こちらで連載を始めさせていただくことになりました、
FU-KOこと美濃羽まゆみと申します。

現在7歳になる長女(通称ゴン)のためにハンドメイドを始め、
築90年になる古い町家に住みながら、家事と子育ての傍らこつこつとお洋服を作っています。

*

01
ずっと町家暮らしにあこがれていた主人の希望で、現在の我家を購入。
長女ゴンが1歳になる頃に引っ越してきました。

それまでは洋風の借家に住んでいたので、最初は慣れないことだらけ。

よく「うなぎの寝床」と言われるように敷地がとても細長く、
南北にしか窓がないため、1階は日中も薄暗く、電気をつけなければいけないほど。

02
また、日本一過酷といわれる京都の夏。
夏過ごしやすいように作られているので、逆に冬はとても寒いのです。

床は畳か無垢の杉板。建具はすべて木製、しかも障子は13枚も!
お手入れ、どうすればいいんだろう・・・
戸惑いがいっぱいでした。

築90年も経っているからか、2階は少しゆがんでいるし、
あちこち立て付けが悪くて、見たことが無い虫の出現にもびっくり。
床下に猫が入ってしまったことも(笑)

03
それでも、だんだんと住み続けていくうちに、
昔ながらの間取りや、建具に込められた昔の人の知恵を感じ、
年数を重ねてあじわい深くなっていく天然素材の良さを知り。

最初気になっていた暗さも、
わずかに差し込む光に、できる影の美しさにうっとりとしたり。
変わるお日さまの角度に、季節を感じることが出来、
改めていいものだと気づきました。

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旬や季節、地域の行事を大事にする町家での暮らしのおかげで、
子育てもずいぶん助けられたように思います。

町家に住んで、よかったな。
そう思えるようになってきました。

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そんな町家での暮らしと、ハンドメイド。

共通することは、
「無いなら、工夫してやってみる」

私の場合、ゴンが標準よりかなり細身で似合うお洋服がなく、
どれもぶかぶかでパジャマのようで・・・

気に入ったものが無いなら
「よし、作ってみよう!」そう思ったのがきっかけでした。

06
でもきっと、
ひと昔前は、お味噌や梅干を手作りするのと同じ感覚で、
お洋服も手作りしていたもの。

今のように物資が豊富ではなかっただろうし、
必要に迫られて仕方なく作っていたのでしょうね。

でもそれは、
子供のためを思い、ちくちく夜なべして縫った、
世界に一つしかないお洋服。

きっと袖を通した子供も、お母さんの愛情をいっぱい感じ、
誇らしい気持ちになったはず。

そして、擦り切れるまで大事に着て、思い出が沢山つまっていたことでしょう。

07
今は、いつでも、どこでも、どんなものでも。
欲しいものが安価で手に入る時代。

子供のための可愛いお洋服も、
びっくりするほど安くて、種類も沢山あります。

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でも、お母さんが子供のものを選ぶ時期って、意外と短い。
現に、この春小学生になったゴンは、洋服をはじめ、
身の回りのものを自分で選ぶ時期に来ています。
(寂しいですが・・・成長を感じられる瞬間です)

その短い時間を、沢山の既製品より、
ほんの少しでもお母さんの手作りで彩ってあげられたら、
子供の未来にもきっと、なにかキラキラとした感覚を残せるんじゃないかな。

そして何より、
子供が満面の笑顔で喜んでくれる、
そのときに胸に湧き上がる愛しい気持ち。

子供のためを思いながら、手を動かすよろこび。

忙しい子育て中のお母さんにだからこそ、
すこしでも手作する時間を楽しんでほしい。

きっともっと、子供との日々が輝き出すと思うから。

そう思います。

07

FU-KO

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第三回:わたしのアトリエと道具たち(後編)
第三回:わたしのアトリエと道具たち(前編)
第二回:親子の時間がつながるとき ママのカットソーで簡単リメイク


◇おしらせ◇


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FU-KO basics.「思い出に残る服・思い出を作っていく服」をテーマに、シンプルな洋服を作っている。京都の築90年の町屋での、子育てや日々の暮らしをつづったブログも人気。ブログ http://fukohm.exblog.jp/ 著著に『作ってあげたい、女の子のお洋服』『毎日着たい、手づくり服』(日本ヴォーグ社)がある。

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