第一回:町屋で暮らすこと。手作りすること。
こんにちは。そして、はじめまして。
こちらで連載を始めさせていただくことになりました、
FU-KOこと美濃羽まゆみと申します。
現在7歳になる長女(通称ゴン)のためにハンドメイドを始め、
築90年になる古い町家に住みながら、家事と子育ての傍らこつこつとお洋服を作っています。
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ずっと町家暮らしにあこがれていた主人の希望で、現在の我家を購入。
長女ゴンが1歳になる頃に引っ越してきました。
それまでは洋風の借家に住んでいたので、最初は慣れないことだらけ。
よく「うなぎの寝床」と言われるように敷地がとても細長く、
南北にしか窓がないため、1階は日中も薄暗く、電気をつけなければいけないほど。
また、日本一過酷といわれる京都の夏。
夏過ごしやすいように作られているので、逆に冬はとても寒いのです。
床は畳か無垢の杉板。建具はすべて木製、しかも障子は13枚も!
お手入れ、どうすればいいんだろう・・・
戸惑いがいっぱいでした。
築90年も経っているからか、2階は少しゆがんでいるし、
あちこち立て付けが悪くて、見たことが無い虫の出現にもびっくり。
床下に猫が入ってしまったことも(笑)
それでも、だんだんと住み続けていくうちに、
昔ながらの間取りや、建具に込められた昔の人の知恵を感じ、
年数を重ねてあじわい深くなっていく天然素材の良さを知り。
最初気になっていた暗さも、
わずかに差し込む光に、できる影の美しさにうっとりとしたり。
変わるお日さまの角度に、季節を感じることが出来、
改めていいものだと気づきました。
旬や季節、地域の行事を大事にする町家での暮らしのおかげで、
子育てもずいぶん助けられたように思います。
町家に住んで、よかったな。
そう思えるようになってきました。
そんな町家での暮らしと、ハンドメイド。
共通することは、
「無いなら、工夫してやってみる」
私の場合、ゴンが標準よりかなり細身で似合うお洋服がなく、
どれもぶかぶかでパジャマのようで・・・
気に入ったものが無いなら
「よし、作ってみよう!」そう思ったのがきっかけでした。
でもきっと、
ひと昔前は、お味噌や梅干を手作りするのと同じ感覚で、
お洋服も手作りしていたもの。
今のように物資が豊富ではなかっただろうし、
必要に迫られて仕方なく作っていたのでしょうね。
でもそれは、
子供のためを思い、ちくちく夜なべして縫った、
世界に一つしかないお洋服。
きっと袖を通した子供も、お母さんの愛情をいっぱい感じ、
誇らしい気持ちになったはず。
そして、擦り切れるまで大事に着て、思い出が沢山つまっていたことでしょう。
今は、いつでも、どこでも、どんなものでも。
欲しいものが安価で手に入る時代。
子供のための可愛いお洋服も、
びっくりするほど安くて、種類も沢山あります。
でも、お母さんが子供のものを選ぶ時期って、意外と短い。
現に、この春小学生になったゴンは、洋服をはじめ、
身の回りのものを自分で選ぶ時期に来ています。
(寂しいですが・・・成長を感じられる瞬間です)
その短い時間を、沢山の既製品より、
ほんの少しでもお母さんの手作りで彩ってあげられたら、
子供の未来にもきっと、なにかキラキラとした感覚を残せるんじゃないかな。
そして何より、
子供が満面の笑顔で喜んでくれる、
そのときに胸に湧き上がる愛しい気持ち。
子供のためを思いながら、手を動かすよろこび。
忙しい子育て中のお母さんにだからこそ、
すこしでも手作する時間を楽しんでほしい。
きっともっと、子供との日々が輝き出すと思うから。
そう思います。
FU-KO