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nunocotoオリジナル布の製造現場:布のプリント編―「手捺染」のプリント工程を詳しく解説していきたいと思います!
nunocotoオリジナル布には、「手捺染」と「デジタルプリント」という、2種類のプリント方法を取り入れています。
そのテキスタイルのデザインや色のタッチ、または色数や生地の種類…といったたくさんの要素から、どちらのプリント方法が最適なのかを決めるところからスタートです。
色の数だけ版をつくります
テキスタイルのプリントは、通常、単色または複数の色で構成されています。
わかりやすい例がこちら。
左が1つの色だけで構成されているプリント。ネイビー一色です。
右はイエロー、ネイビー、グレーの3色です。
どうしてとつぜん色の話になるかというと…、
色の数だけ版ができる、からです。
上記のhappaのモチーフには、3つの版が使われていて、色ごとに版が分かれています。
手捺染で布をプリントする場合、まずは1つの色に対して1つの版を作るところから始まります。
こういうグラデーションは何色になるのでしょう。
左は水色・薄い水色・イエロ ーの3色です。
右のような淡いグラデーションでも、薄いピンクともっと薄いピンク、という2色を使うことになります。
製版工場へテキスタイルのデザインを渡し、色の数と同じだけの版が仕上がってきたら、まずは色を作っていきます!
プリントの下準備。色をつくります!染色職人さんの手で絶妙な色味を表現!
まずは一番肝心な色味の調整です!
予め指定した色を、事前に職人さんが作って、実際にプリントする布に色見本を作ってくれています。
それを見ながら、色の調整をしていきます。
テキスタイルデザイナーさんが描いてくれた元々のデザインとにらめっこしながら、実際に生地に色を乗せていきます。
細かいニュアンスが表現できるまで、何度も何度も。
色味の調節はまさに職人さんの勘と技術のみせどころ!
配合する染料が1グラム違うだけで色が変わるので、とっても慎重に。
色はデザインの通りに忠実に再現することもできるし、実際に布に乗せてみてその場で調整することも。
「もうちょっと淡いトーンの方が合うね」「少しグラデーションの濃淡を強めにした方が自然光で映える」など、あれこれ意見を出し合いながら理想の色味に近づけていきます。
さあ、いよいよプリントです!
職人さん渾身の初刷りはどんな感じになるのかな…
25mの長さの捺染台に布の生地をロールのままくるくるくるくる~と広げていきます。
そこへ、1つ目の色を乗せるための1つめの版を置いて…
捺染台の染料受けに染料を流し込んだら、、、
一気にヘラで上から下に刷ります。これが手捺染のプリントの瞬間です。
色むらなどができないように、布の特性を見極めながら、職人さんが常に力加減やスピードを調整します。
この一瞬は、見ている側も緊張します。
実際の「刷る」という作業は、本当にあっと言う間なんです。びっくりするぐらい。
手捺染では、刷るための下準備(色の調整、捺染台の調整、版をどの順番で刷るか、試しプリントで布特性を把握など)に時間がかかります。
はじっこまでいったら、隣の捺染台へ移動。50m一気に刷り上げます。
また戻ってきて、今度は2つ目の色の版に置き換えて…
捺染台にプリントした布が並ぶ姿は何ともいえず圧巻ですね!
さらに、細かいところは入念にチェック。色塗らをチェックしてきます。
プリント作業が終わると、捺染台に貼りつけたまま、乾燥させます。
プリントが乾いたことを確認して、捺染台から手早くはずし、蒸し器へ。
布に、色を固着させるためにしばらく布を蒸します。
出荷後の色落ちなどを防ぐために、しっかり洗います。
自然乾燥して、完全に乾かします。
オリジナルプリントのできあがりです!!
(後日、仕上げは整理工場でアイロンをかけて、ロットに巻いて出荷です!)
nunocotoオリジナル布誕生の現場に立ち会って
nunocotoオリジナル布が生まれる現場にお邪魔して、その1つ1つの工程に、職人さんの長年の経験や技術によって培われた手作業のよさをまざまざと実感することできました。
プリントする瞬間は、工場内が緊張の空気に包まれ、身が引き締まる思いがしました。
50mすべてが刷り上がったときの感動、乾燥や水洗いした時の色の変化など、「布は生き物だから」と何度もおしゃっていた奥田さんの言葉に、
思わず、うーん…とうなってしまいました。
職人さんが1版ごとに手作業でプリントする手捺染は、人の手で丁寧につくられているため大量生産はできません。
しかし、機械では出せないやさしい風合いに仕上がるのは、手捺染ならではです!
是非、一度手に取って見ていただけると嬉しいです。
スタッフ 藤田
nunocotoオリジナル布を染めてくれた人
2010年より、株式会社 奥田染工場 代表取締役。
文化服装学院や多摩美術大学にて非常勤講師
浴衣ブランド「phro-flo」デザイナー。など
数多くの東京ブランドのプリントに携わる。
⇒奥田染工場HP