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201412/15

vol.3『ふゆ』『クリスマスってなあに?』

このあの文庫が、とっておきの絵本を一冊ずつ紹介します。
赤ちゃんとの毎日に寄り添うような、あるだけで心がほっとするような絵本たちを、いつでも手に取れるところに置いてみませんか。

vol.3『ふゆ』『クリスマスってなあに?』

ここ数年は、東京でも、ひと冬のうちにかならず何度か雪が降ります。

夜から降り始めて朝には一面の雪、雪、雪。
あのシーンとした静けさ、曇る窓ガラス、雪の上に付けられた真新しい足跡…、ああ、やっと今、しっかりと、冬を噛みしめたぞ、という気持ちで背筋がすっと伸びるようです。

さて、そんな雪の日のことが描かれた、少し大人の絵本を紹介します。

タイトルは『ふゆ』。

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雲が集まって雨を降らせ、それが雪となって丘に降り積もるまでが、淡々と描かれる前半。
無駄を省いたシンプルな文章が、淡いグレーと白だけで構成されるグラフィカルなイラストを際立たせてくれます。
ぜひ、このイラストの1ページ1ページを、ゆっくりと味わってみてください。

なんと言っても、見開きごとに感じる余韻が、この絵本の一番の魅力なのですから。

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極限の静けさに身を委ねたあとの、新展開。
ここからは読んでからのお楽しみ。
一つめの、おいでおいでの手招きから、一気にラストまで引っぱる構成が見事です。

2歳ぐらいの子どもなら、いっしょに楽しめます。
名探偵になったつもりで読んでみてくださいね。

はじめに大人向け、と言いましたが、そのわけは…。
この絵本そのものの質感です。
北欧の空気感を表現したグラフィカルな表紙は、まるで一枚の絵のような佇まい。
そのまま壁に飾っておきたくなります。

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本編の1ページ1ページにもその世界はつながっていて、
実際、このままテキスタイルにしてファブリクパネルにしたいな、と思うページばかりです。

どのページも構図が抜群に良い。見ていて本当に心地良い。

それもそのはず、作者のこうのあおいさんは、スイス在住のデザイナー・イラストレーター。有名なネフ社のおもちゃや、テキスタイル、食器などのデザインを手がけ、海外でも高い評価を受けています。

自身が昔住んでいた南スイスの丘の風景が、この『ふゆ』を生むきっかけになったとのこと。
もともとは1972年にイタリアで出版されたものと知って、新しさと普遍的なノスタルジックが同居するこの絵本の魅力に改めて納得です。

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見開きもかわいらしくて。この柄の風呂敷があったら素敵…!

-刺繍で描く、『ふゆ』の世界-

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雪の朝のイメージのファブリックで、パネルをつくりました。キルト芯をはさんでふっくら感も

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壁にペタリと貼ってみました。身近なアートになりました

「少し光沢のある糸を1本どりで、また、あえてダブルガーゼに縫い描くことで、柔らかさを表現しました。枝の位置、向きなどが規則的で縫いやすいパターンでした。」

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『ふゆ』(アノニマスタジオ)
こうのあおい/著
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そして2冊目。
クリスマスが近いので、おすすめのクリスマス絵本を。

数あるクリスマスの本は、並んでいるだけでも楽しいですよね。
また、ひと言でクリスマスと言っても、いろいろなアプローチがあると思います。
その中で、真っ向からクリスマスを捉えた絵本があります。

『クリスマスってなあに?』

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目次には「クリスマスのはじまり」「サンタクロースがやってくる」「教会で賛美歌をうたおう」「十二夜ってなあに?」など、気になる言葉が並びます。

イエスキリストの誕生について、とてもわかりやすく説明されていると思えば、
また別の章では、子どもたちが嬉しさに弾けるように飛び起きるクリスマスの朝の情景が描かれています。

簡潔で、でも説明的にならずに、スムーズに進んでいく一連のストーリー。
そこに彩りを与えるジョーン・G・ロビンソンのイラストの愛らしいこと…!

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クリスマスというものを、今まで何となくでしかつかんでいなかった方、
お子さんに「クリスマスにはどうしてサンタクロースが来てくれるの?」と聞かれて
返答に困った経験のある方、
こんな本が家庭に一冊あると、きっと心強いですよ。

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もちろんクライマックスはサンタクロースの登場!

また、本文全体を通してたった3色しか使われていないことにはただただ驚くばかり。
色彩表現のセンスを感じられる一冊でもあります。

小ぶりなサイズも愛らしく、プレゼントとしてもとても喜ばれると思います。

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見開きだってごらんの通り。

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『クリスマスってなあに?』(岩波書店)
ジョーン・G・ロビンソン/文 絵
こみやゆう/訳
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今回は、装丁も含めて本の魅力、ぬくもりを改めて感じさせてくれる2冊をえらびました。

クリスマスはすぐそこ、ですね。
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「~赤ちゃんとおうち時間~ 今月の絵本棚」の一覧

vol.2『パンやのくまさん』
vol.1『きいろいことり』


◇おしらせ◇


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東京・阿佐ヶ谷にある家庭文庫。2004年スタート。 子どもと大人が本を通じて楽しい時間を共有できる、そんな場所を目指しています。名前の由来は、“このよろこびをあのこに”。 毎週土曜日の午後1時〜5時まで開館中。 「このあの文庫」http://konoano.tumblr.com/

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