歴史と記憶を伝える。[サントリー美術館-国宝曜変天目茶碗と日本の美-][森美術館-ディン・Q・レ展 明日への記憶-]
雨がやんで、暑い日差しが肌をジリジリと焼くこの季節。
早く終わらないかなと思っていた梅雨の雨が少し恋しく感じたり…
nunocoto読者のみなさま、こんにちは!megumiです。
半年間連載させて頂いたコラムもこの記事で最終回。
とても楽しく書いていたので、少しさびしく感じます。
半年間のこの素敵な機会を通して、美術館に対する考えが少し変わったので、ちょこっとだけお話させて下さい。
最近楽しいと感じたことはありますか? 忙しいと口に出していたり、仕事がうまくいかなかったり、投げ出したくなったりしていませんか?
美術を好きで、展示を見たくて見に行くのはもちろん本来の意図だと思いますが、私は、自分が今、ちょっと足が立ち止まっているかなと思える方に、是非美術館に行ってみてもらいたいと思います。
もちろん美術館に行ったからといって、人生が楽しくなるわけでも、仕事がうまくいくわけでもありません。
ただそこにいる間は、自分が自分ではなく、他人の意識の中にいるように感じることができます。
それは現実逃避に近いかもしれません。でもそこを出た頃には、入る前より何故か、今の自分を客観的にそして優しく見つめることができるように思うのです。
さて、今回訪れたのは王道の「サントリー美術館」と「森美術館」。
こちらははじめての記事で書いた「新国立美術館」とあわせて「六本木アート・トライアングル」と言われていますね。
3つ回るとチケット料金がお得になったりするので是非活用してみて下さい。
東京ミッドタウンの地下。上を見上げるとガラスの天井に水が流れていて涼しげです。
ミッドタウン館内では7月17日〜8月30日まで「OVER THE RIIIIIIINBOW ~風鈴音色~」が開催中です。
カラフルで音色が美しい空間。思わずシャッターをパシャり。
ミッドタウン内は美しくて撮るのがとっても楽しい。
3Fにあるのが「サントリー美術館」。中は撮影禁止で残念でした…。
今回の展示は『国宝曜変天目茶碗と日本の美』。
国宝の美術品が惜しげも無く展示されています。
歴史好きの旦那がなかなか動かず(笑)、じっと展示物の歴史を見つめていました。
物語がある絵画は、どこか前に行った「新国立美術館」のルーヴル展を思い出します。物語を描くということは、現代も昔も国も超えた共通点なのかもしれません。
ぐるっと周って反対側の通路から撮影。ガラスと木が素敵に調和します。
エレベーターを降りて…
第2目的地、六本木ヒルズへ!
…とその前に、甘い香りに誘われました…。
寄り道したのは「creme de la creme」。きょうは気温も高く太陽が熱いのに行列です。
シュークリームのサクサク生地にソフトクリームがたっぷり〜。
さて森美術館へ。チケットを買って登ると、カフェのガラスになにか付いている…?近くで見るとなんとガンダム!そういえば同時期にガンダム展がやっていました。
私が行ってきたのはこちら『ディン・Q・レ展 明日への記憶』。
展示のほとんどが写真撮影可能です。ありがたや…!
世界で最も活躍するベトナム人アーチィストの個展と聞いて、期待感を抱きながら中へ。
戦争から生まれたものがいかに残酷で、無情なものなのか、アートを通して、でもとてもダイレクトに伝わる展示です。展示内の映像で流れた「何が悪いのかがわからない。」と話した兵士の言葉が妙に耳に残り、ざわざわと身体を這いずり回ります。
ベトナム戦争から帰った兵士の半数近くがホームレスだなんて知りませんでした。
ぐるりと展示を周って、ついでに展望台へ。
展望台から見た景色は東京というより地球という感じ。
ここには多くの人がいて、その一人ひとりに同じものがないストーリーがあるだなんて素敵。
帰りはとっぷり夜の景色。
せっかくの六本木なので、有名な「Toshi Yoroizuka」でとろけるようなおいしいデザートを。
東京はとても明るくて、楽しく賑やかです。
上京したての頃はそれが苦手で、賑やかな街に自分が一人ぼっちでいるような感覚がありました。
確かにどこも人が多く忙しくはありますが、その反面に、ほっと心を落ち着かせることのできる場所もたくさんあります。
それは街が作った優しさの象徴だと、私は感じます。
そして、美術館も優しく休める場所の一つだと思いました。
今回の展示、
サントリー美術館『国宝曜変天目茶碗と日本の美』は8月5日〜9月27日まで、
森美術館『ディン・Q・レ展 明日への記憶』は7月25日〜10月12日までです。
六本木にくるときには是非回ってみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
【今回訪れたところ】
サントリー美術館
森美術館