20159/7

草花にお菓子に、繊細な秋を見つける。

夏休みが終わりほっと一息……。
あれよあれよという間に、朝夕の涼しさが際立ってくれば
「ハスキーなおふくろ」の季節がやってくる。

ハスキーなおふくろとは、 実は秋の七草の覚え方の一つ。
「ハ」はハギ、「ス」はススキ、「キ」はキキョウ、「ナ」はナデシコ、
「オ」はオミナエシ、「フ」はフジバカマ、「ク」はクズを指す(「ロ」はおまけ)。

秋が深まるにつれて徐々に開いていくはかなげな草花を愛でつつ、
今日の一口にも小さな秋を見つけたい。

さて今回は、京都は仙太郎の「ご存じ最中」から。
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ご存じ最中の一番の特徴は、もなか皮からあふれそうなあんこの量!
もなかなのに、手に持つとずっしり重みがある。
口元にもなかを運べば、皮の香ばしい匂いもふんわり。

あんこはかなりしっかり粒が残っているタイプで、
あー、あんこってお豆だったなあといつも感心してしまう。
もぐもぐもぐと休まず食べ続けてお茶を一口飲んで、
今度は、あー、おいしかったなあとしみじみ。
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何も変わったところのない、普通のもなかなのだけれど、
直球をズバーンと投げられたような真っ直ぐなおいしさは、やっぱり強い。
私の母など、仙太郎の出店している伊勢丹新宿本店で別のお菓子を買うと、
それがどんなにおいしくても「やっぱり仙太郎でもなか買えばよかったな」と
必ずつぶやく。もはや中毒である。

ちなみに、皮の壊れやすい「ご存じ最中」は地方発送できないとのこと、
遠方のどなたかへの贈りものには、自分であんこを詰める
「お好きに召しませご存じ最中」がちゃーんと用意されている。
そちらをお送りするときには、あんこと一緒にバニラアイスを挟めば、
とびっきりのアイスもなかのできあがり!ということも、伝えておきたい。

続いては、愛らしい見た目の「pure coco」。
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このお菓子、一見ほろっとしたスノーボールクッキーに見えるけれど、
かじってみると、なんと中は空洞。
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ピュアココは、シュー生地にホワイトチョコレートをかけたお菓子だ。

しかも、まあるく愛らしい見た目に引っ張られて、
甘くて素朴なお菓子を想像していたのに、
ホワイトチョコレートは濃厚で、シュー生地はしっかりしょっぱい。
意外なほどガツンとしていることに2度びっくり。

チョコレートの口どけも、表面のパウダーシュガーのふんわりした甘さもよく、
ついつい次に手が伸びてしまう。
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大きめのカップにミルクティーを淹れて、雑誌でもめくりながら食べたい。
50個入りをどーんと差し入れて、人々を驚かせたい。
野望膨らむお菓子である。

ところで、あまり知られていないことだけれど、
私は甘いもの好きでありながら、お酒も好きなのである。
ただし残念なことにほとんど飲めないので、心のみ辛党という感じ。
それでも、カラッと晴れた日にはランチビールが恋しくなるし、
秋の夜長や寒い冬にはホットワインを飲みたくなる。日本酒も大好き。

というわけで、なんだか肌寒い日にいいなと思うのが
福光屋の「酒かすマドレーヌ」。
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アルコール分が含まれた「酒かすていら」と違い、
マドレーヌは子どもでも食べられるお菓子であるはずなのに、
袋を開けた途端、酒粕の匂いがぷ~ん!
それはそれは、一瞬カステラと間違えたかと思うほどの馥郁たる香りだ。

しっとり、ふわふわ。なんだかちょっと色っぽい。
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みりんを使ったグラノーラもとってもおいしくて、
袋からそのままポリポリ食べてしまう。
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ほんのり甘くて、甘酒風味。
小分けにして持てば、息子の緊急事態(おなか空いた号泣攻撃)にも使える。

何より「酒蔵のこぼれ梅」というネーミングが素敵。
みりんの搾りかすが、梅の花に形が似ていることから付けられた名前だそう。
いつか、本物を見てみたいなあと思いつつ、またポリポリ。

ぱりっとしたもなかの皮、ホワイトチョコレートのやさしい口どけ、
お酒の香るしっとりしたマドレーヌ― そんなところに、秋を感じる私です。
花も団子も、楽しんでゆきましょう。

皆さま、どうぞ召し上がれ。

【今回ご紹介したお店】
・仙太郎 http://www.sentaro.co.jp/
・pure coco http://shop.purecoco.jp/
・福光屋 http://www.fukumitsuya.co.jp/

「あまいお菓子のおたのしみ -昼下がりの甘味-」の一覧

花笑う頃、思い出のお菓子を振り返ってみる。
お皿の上ではもう春、を堪能してみる。
新しい年、愛らしいお菓子とともに春を待つ。
慌ただしい師走には、一口で別世界へ行けるお菓子を選ぶ。
自然に近い滋味のあるお菓子で、秋に浸る。
職人技に感激! 多彩な栗菓子にときめく。
涼やかなお菓子の力で、優雅に残暑を楽しむ。
夏バテ対策! おやつでココロとカラダを健康にしてみる。
暑さと雨とにめげそうな日には涼やかなお菓子をいただく。
若々しい新茶には伝統の小さなお干菓子を添える
春に誘われて乙女な和菓子をいただく。


◇おしらせ◇


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高橋真生(ひらがな暮らし案内所ライター、文章表現講師。 暮らしや育児・本など、人とことばを軸にした情報の発信と、自分の思いを表現する力をつけるお手伝いが主な仕事。 甘いもの好きで、やんちゃな男児にてんてこまいの新米母。 ■ブログ ひらがな暮らし案内所 http://hiraga7.exblog.jp/ ■AllAbout公式ブログ 日本のこと、日本のことば http://maitaka84.hatenablog.com/

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