201411/28

繊細な模様がひときわ映える、棒針編みのベスト

外に出てみると、「さぶーいっ!」と思わず言いたくなってしまうような季節になってきました。
スープやコトコト煮込んだ優しいお料理が恋しくなったり、オーブンを使った焼き菓子を作りたくなりますね。
最近、我が家でよく登場するのが蒸篭。
花巻(中華蒸しパンみたいなもの)をよく作り、その時あるものを気軽にはさんで気軽に楽しんでいます。
蒸しあがった花巻は、白い毛糸玉のようで、ふわふわっと、かわいいですよ。

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今日は、フェアアイルのベストのお話を。
私が使用している糸は「Jamieson’sShetland Spindrift (ジェイミソンズ シェットランド・スピンドリフト)」という糸で、スコットランドのシェットランド諸島にある「ジェミイソン&スミス」社で作られています。

200色の種類があり、すべての糸を目の当たりにすると、きゃー!!と心の中で叫びながら、小躍りしてしまいます。
通販で輸入することもできますが、馬喰町の Keito というお店で売っています。(※2016年4月に浅草橋三丁目にお引越しされています)
ジェミソンズの他にも世界中の毛糸を扱っているので魅力的過ぎて少々キケンですが…

私が、初めてフェアアイルに挑戦しようと思ったのもこのお店のおかげ。
「毛糸だま」に掲載されていた風工房さんのフェアアイルベストが展示されていて、そのあまりの可愛らしさに一目ぼれ!勢いで毛糸を買い込んでしまった…(笑)
それまでは、まさか自分がこんなに細かい作業をするとは夢にも思っていませんでした。

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シェットランドヤーンの特徴は、繊維が長くて絡まりやすいこと。
その特徴を生かして、編み上げたものにハサミを入れ、切り開いて首回りや袖口を作り出していきます。
最初は、編んだものにハサミを入れる!と聞いて驚いてしまいましたが、洋裁でいう縫い代を付け足しながら編んで行くので安心です。(この縫い代に当たる部分をニッテッドスティークまたはスティークと呼びます。)

スティークを作り出しながら編んで行くことで、表目だけを見て輪針やダブルポイント(先のとがった棒針)を使って表目だけを見て輪に編み進めることができます。
フェアアイルの編み込み模様は一見すると、とっても複雑に見えますが、一段につき2色までしか使いません。
ですが、裏を見ながら編んで行くのは至難の業。表目だけを見て編めることで、きれいに早く簡単に仕上げていくことができます。

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このようにたくさんの糸が渡っています。スティークは最後にまつりぬいでキレイに始末します。



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編んでいて、きゅーんとなってしまう配色。写真ではわかりづらいかもしれませんが、真ん中の毛糸は両側の黄色とグレーをミックスしたもので、この一色が一段あるおかげで自然なグラデーションが生まれます。

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あるのとないのでは、全然違うっ!!

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レモン色、山吹色、おとなりに配色される色によって、また違って見えるのも楽しい。



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そんな風に一段のため、ちょっとしたニュアンスに加える毛糸を揃えていくと、どうしてもたくさん集まってしまう~。
そして愛着のある糸は大切に使いたいので、一枚目に編んだベストのなかでも気に入ったブルーをベースに、自分で配色を考えて2枚目も編むことにしました。

色鉛筆を使ってイメージを書いて、サンプラーを何枚か編んで…実際編んでみるとイメージと違ったり、思わぬ組み合わせのほうが、ぐっとくる感じだったり。



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できあがってみたら、模様は全然違うのに、なんだか姉妹のようなチョッキが2枚。



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使う道具もいろいろです。初めての編んだフェアアイルは、大正生まれの私のおばあちゃんが使っていたダブルポイントを5本使って編みました。
なぜ4本でないかというと、その方が折りたためて便利なんです。
おばあちゃんの愛用を使えることも嬉くて。

たぶん昭和初期のものでしょうか?ちなみにすそのゴム編み部分は伸びやすいので0号を使いました…数字だけ聞くと、めげそうな細さです。へし折るかと思いましたが、竹はしなやかで丈夫でした。



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こちらは輪針。針を付け替えてワイヤーにつなぐことのできる優れもの。
ワイヤーも長さを編みたいものによって(30㎝、60㎝80㎝など)変えられるのは本当に便利です。
大物を編むと重たくなってきて、棒針が湾曲してくることもありますが、これなら大丈夫。
私は幅の広いストールを編むときにも使っています。

また、気軽に針の号数を変更できるので、使うほどに手放せなくなってしまいます。
素材も金属や木製、竹製などありますが、私が使っているものは、竹製の逆輸入された輪針。

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アメリカと日本では同じ号数でも針の太さが違うので、こんなガイドも付いています。



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これは、私が生まれたときに着せてくれていたセーター。機械編みが得意だった母の手作りです。
私も娘に着てもらいました。今見ても可愛い模様と色。

複雑な色の組み合わせも楽しいですが、こんなシンプルなフェアアイルも素敵ですよね。



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おまけ。
海外の編み物の本。見飽きることがありません。
いつか、いえ、近いうちに翻訳されたものではなくて、英文のまま編みたいです。

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贅沢な手編みのざっくりニットカーディガン
小物ではじめる冬じたく ~手袋・ニットキャップ~


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編み物を始めたのは小学生のころ。かぎ針でぬいぐるみのベストを編んでから。 肌ざわりのよい優しい毛糸や、色のキレイな糸に惹かれ、ますます編み物のとりこになっていく日々。夢は自分で羊毛を紡いで編むこと。 不定期で編み物ワークショップの講師などもつとめる。

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