20151/5

vol.4 飲み物道具の話

新年、あけましておめでとうございます。

恒例の祖母と叔父家族の家で、叔父手製のおせちに舌鼓を打つお正月を満喫しながら、焙烙のことを思い出しました。

祖母宅が引越をする前の、私の記憶に濃い祖母宅は、現在ではクラシック、当時としてはモダンなガス台や電子レンジが入っており、細々した道具類も日々の中でアンティーク化した宝の山でした。
その中でも、一番馴染みのあった道具が、今では入手できないだろう石綿製の「ほうろく」。

お正月のメニューは、叔父のお手製のおせち、お刺身、関西風のすきやきと決まっていて、お刺身を切るのは祖母、すきやき奉行は叔父でしたので、炊けたごはんをつけるとか、仏様にごはんをあげるだとか細々したことはやるものの、台所に立つようなスキはなく、一向に上手くならないピアノを弾いたり、散歩に出たりしていました。
さすがに学校にも上がり、何かやれそうなことはないかと思い目を付けたのが食後のお茶。
お酒を飲む習慣のない親戚宅では食後に全員分のお茶を焙じて飲んでいて、年に一度10人前後の夕餉の後ともなれば、ちょっとした量のお茶っ葉を焙じます。
小さい頃は祖母のお茶を炒る姿を眺めて、これならイケると確信、大きくなってからはその役目を買って出ました。

使い込んだほうろくにお茶っ葉をあけた時の青い匂い。
規則正しく軽い音を立て、遠火で揺すりながらじわじわと香ばしい香りが立っていくのを全力で感じ、ここぞできゅうすに移す。
たいしたことじゃないんです。
なんの技術もいりません。
ただその時間の集中力は、気持ちのいいものでした。
人数分のお茶を運んで飲んだ時のひといき入れる空気も好きだったので、食事が終わる頃の、そろそろお茶でも、という空気からお茶を飲みきるまでの一連は、今は私がホストというような、誇らしげな気持ちがしました。

今はその家もなくなって数年。
ほうじ茶は紅茶かコーヒーになりました。
あぁ、あのほうろくはもうどこでも手に入らないだろうなぁと思うと残念でなりません。
もらっておけばよかった。

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そういえば、親戚とお茶の風景で言えば、法事などでお茶を入れてはお出しするのも好きでした。
法事はそうでもないですが、お葬式ともなれば大勢の大人がどんどん集まってくる。
誰かが到着すればお茶を入れて出し、褒められるものだからよけい得意になってすかさずお茶を配って、ひとくち飲んだ後の満足げな「ふう」というため息に満足してちょろちょろしていた記憶があります。

暖かい飲み物が好きみたいです。

細々と、しかし今に脈々と受け継がれているのが自分の「ふう」のためのコーヒー。
バッハの珈琲豆が好きですが、気楽に行ける距離ではないので、近所の自家焙煎屋さんを冷やかして、深炒りめなものを選びます。
コーヒー器具はいろいろ試して、結果見た目重視で買ったケメックスに落ち着きました。

専用ブラシもあるものの、使わない間の保存が面倒なので結局水洗い+たまにハイター。
専用ペーパーフィルターは暇なときに折ってガラスジャーに入れておいて、豆は基本的には挽きます。
古道具屋で買ったダルマの形のミルは握りにくくて観賞用、実際はアウトドア用のコンパクトなポーレックスのコーヒーミル。
月兎ポットは錆びてしまったので最近はもっぱら片手鍋でお湯を沸かす。
凄く凝ることはしてません。

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沸かしすぎたのを少しさましてから、少量のお湯でゆっくりコーヒーをしめらせて、あとは香りと音で判断します。
「サフ、サフ、コフコフコフ・・・」という音がすれば香りと共においしい予感がする。
最後まで落としきらず、フィルターの内側に少量のコーヒーとアクを残したまま外し、マグカップにたっぷりつぐ。
ひとくち飲んだら、自然と、満足そうな「ふう」が口をついてるものです。

身体を温めて、今日も一日がんばりましょうか。

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「注文の多い道具たち」の一覧

vol.6 生活を彩り記憶する
vol.5 木べら
vol.3 パキスタンから来た皿
vol.2 アルミのバット
vol.1 鉄のフライパン

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